[北九州市交通局] パッケージ型路線バスダイヤ改正支援システム開発実証

業種
公営バス事業

北九州市交通局営業推進課 運輸サービス係 事業推進担当 有川和也係長(右)
SWAT Mobility Japan株式会社 代表取締役 末廣将志 (左)

―北九州市交通局の課題を教えてください。

路線バスのダイヤ改正をするにあたって、担当者が乗降データを抽出・分析して、運行時間と本数を決定しています。抽出・分析には、非常に時間がかかります。半年から1年、分析を行った上で、ダイヤ改正を実施します。ダイヤ改正は、担当職員2人が専属で取り組んでいますが、担当職員だけでは工数が足りず、追加で1、2名の職員にサポートしてもらっています。また、利用者の意見を反映するが故に、複雑な路線となってしまうのが難しいところです。

 

―なぜ弊社との実証実験を受け入れたのですか?

産業経済局スタートアップ推進課が実施している「スタートアップSDGsイノベーショントライアル事業(実証支援事業)」で、当局の課題解決にあたりスタートアップ企業のSWAT社の紹介を受けました。

SWAT社との事前打ち合わせで、これまでの実績や独自のアルゴリズムなどを拝見し、課題解決の糸口が見つかる可能性があると判断したため、今回の実証実験に至りました。

 

―本実証実験によって、どのような発見がありましたか?

全く利用されていないバス停の発見やSWATから提示を受けた運行ルートを見て、新たな運行ルートの可能性を感じました。また、今まで可視化されていなかったCO2排出量が可視化されました。環境都市である北九州市にとっては、CO2排出量は重要な指標だと考えています。

 

―本実証実験によって、どのような改善が見られそうですか?

ダイヤ改正作業の一番のネックは、分析に膨大な時間がかかることです。分析時間を短縮することで、人件費の削減が可能ですし、また、正確な分析により適切な車両台数で運行することが可能になると思っています。

 

―本実証実験にあたって、交通局の皆様の反応はいかがでしたか?

分析結果の「見える化」により、現状や課題となる点が感覚的にとらえることができるといった点がとても印象的でした。分析時間を削減することでダイヤ改正に必要な他の作業に注力することができるようになる上、分析による新たな発見もあると思いますので、期待・関心は非常に高いのではないかと実感しています。特に、乗車数と運行頻度の相関関係を表すグラフは新しい視点で驚きました。

 

―今後SWATと一緒に取り組みたいことはありますか?

既存の分析方法にとらわれずに多様な分析を通じて、バス事業を継続することができるダイヤ改正につながることを期待しています。

民間や公営に関わらず、バス事業は新たな移動需要を的確にとらえていかないと、今後、生き延びることは難しいと考えます。例えば、今まで何もなかった土地に集合住宅ができ、地域の移動需要が変化する。その需要をとらえた効率的なダイヤ改正を実施するといったことも考えられます。

現状をきちんと把握し、効果的なダイヤを確立した上で、人の流れの可視化による移動需要予測による効率的なバス運行ができれば、公共交通がより便利なものになると思います。結果、自家用車の利用も減り、脱炭素社会化にも繋がっていくことを期待します。

北九州市交通局有川和也係長(左)
SWAT Mobility Japan株式会社 末廣将志 (右)