【鹿児島市交通局/お客様インタビュー】路線バス運行データ分析システム

国:
日本

業種 公営バス事業

概要

鹿児島市交通局は、公共交通の利用状況や人口動態の変化、運転士不足を踏まえ、効率的な路線・ダイヤの見直しを継続的に行い、利便性の維持を図っています。従来の職員による見直しではデータ活用に限界があったため、乗降データや人口・人流データを組み合わせて効率的に分析するため、乗降データ分析システムの導入に取り組むことになりました。システムで可視化したデータをもとに実際に運行効率化に取り組み、NHKのニュースにも取り上げられた鹿児島市交通局にインタビューをさせていただきました。

鹿児島市交通局 大坪 信二郎様 (1番左) 、上薗 夏樹様(右から2番目)、森 祐貴様(1番右)
SWAT Mobility Japan株式会社河野 陸也 プロダクトマネージャー (左から2番目)

― 鹿児島市交通局が抱えていた課題を教えて下さい。

路線バスのダイヤ改正を行う際、データを適切に分析・可視化ができていなかったので、人力で現地調査を行う必要があり、多大な時間と労力を要していました。利用状況を現場で一つひとつ確認し、運行時間や本数を決定していく作業は、担当職員にとって大きな負担となっていました。また、調査に時間がかかることで、路線やダイヤの見直し対象を十分に広げることができないという課題もありました。本来であれば、より多くの路線を詳細に分析し、最適なダイヤ編成を行いたいのですが、限られた人的資源では対応しきれていませんでした。

さらに、改定後の効果分析についても、十分な労力を割くことができず、実施したダイヤ改正がどれだけの効果をもたらしたのかを検証することも難しい状況でした。

― 弊社の分析システムを導入した理由を教えて下さい。

上記のような課題を背景に、様々な外部環境の変化への対応が急務となっていました。具体的には、公共交通の利用状況の変化や人口動態の変化、そして深刻化する運転士不足といった問題に直面していました。

これらの課題に対応するためには、効率的な路線・ダイヤ編成と利便性の維持確保の両立が必要不可欠でした。限られた人員で最大限のサービスを提供するには、従来の分析手法では限界があると判断し、SWAT Mobilityの路線バス運行データ分析システムの導入を決定しました。

本システム導入により、データに基づいた客観的な分析が可能となり、より効率的かつ効果的なダイヤ編成が実現できると期待しました。

― 分析システムを導入することによって、期待する効果は得られましたか。

期待以上の効果を得ることができました。最も大きな成果として、実車運行時間で約7%の運行時間の削減を実現し、乗務員7人分の業務削減につながりました。

具体的には、路線分割により3.4人分の削減効果があり、電車との役割分担を明確にすることで効率化を図りました。これは従来、電車と競合していた混雑時間帯や場所を分析した結果、一部の時間帯を除き重複運行を見直すことができたためです。また、減便による削減は3.6人分ありました。

さらに、改定(分析)に要する時間を大幅に削減できたことも大きな成果です。これにより、現地調査の時間も3~4週間ほど、要していましたが、データに基づいた分析ができるようになることで、現地調査が必要な系統が絞られ、現地調査の期間を半日まで削減ができました。従来よりも広い範囲(具体的には、複数の系統を同時に実施)で改定を実施することが可能となり、より多くの路線について最適化を図ることができました。

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― 分析システムを利用している職員の反応はいかがですか。

現場の職員からは非常に好評です。特に、「欲しいデータがすぐに可視化できるので助かっている」という声が多く聞かれます。

従来は、データを抽出して集計し、グラフ化するだけでも相当な時間を要していましたが、システムを使えば瞬時に必要な情報が視覚的に表示されます。この変化は業務効率の面で大きなインパクトがありました。

また、今までは数値として分析できなかった項目が見える化されたことにより、より根拠を持ってダイヤ等の編成ができるようになったという点も評価されています。勘や経験だけでなく、データに裏付けられた意思決定ができることで、職員の自信にもつながっています。

― 今後、SWAT Mobilityと一緒に取り組みたいことはありますか。

今後ともシステムを継続して活用し、効率的・効果的な路線ダイヤの編成を進めていきたいと考えています。公共交通を取り巻く環境は日々変化しており、継続的な改善が必要です。

また、他市の事例などを共有いただくことで、システムの精度や分析方法のブラッシュアップを図っていければと期待しています。各地の交通局が抱える課題には共通点も多いため、他市の成功事例を学ぶことで、鹿児島市の公共交通サービスの向上にもつなげられると考えています。

具体的な取り組みとしては、路線を分割して、バスとバスの新たなフィーダー化を目指したいと考えています。幹線と支線の役割を明確にし、乗り継ぎを前提とした効率的なネットワークを構築することで、より持続可能な公共交通システムの実現を目指していきます。

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乗降データ分析システムの導入成果

  1. 実車運行時間を約7%削減
  2. データを元にした減便の実施

➜上記により乗務員7人分の業務削減

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